ロルフィングをさらに詳しく

筋膜について

筋膜の可塑性のメカニズム

この図は、体の表面と内部の組織を簡単に表したものです。Ⓐのように外界に面している表面の組織では、各細胞が生み出した物質を簡単に外に排出することができるので、細胞がレンガを積み重ねたようよう整列しながら密集します。Ⓐのような組織は上皮組織と呼ばれ、皮膚や粘膜、分泌腺などになります。

この図は、体の表面と内部の組織を簡単に表したものです。Ⓐのように外界に面している表面の組織では、各細胞が生み出した物質を簡単に外に排出することができるので、細胞がレンガを積み重ねたようよう整列しながら密集します。Ⓐのような組織は上皮組織と呼ばれ、皮膚や粘膜、分泌腺などになります。

それに対して、Ⓑのように外界に面していない体の内部の組織は、細胞が生成した物質が対外に出る代わりに各細胞の間に留まっていきます。

この場合、細胞は密集せずに距離が離れていき、細胞が生む出した物質(細胞外器質)が空間を満たしています。このような組織は結合組織と呼ばれ、筋膜もこれに相当します。

つまり、筋膜は細胞の集合体である皮膚などとは異なり、細胞の周りの大きな空間を細胞外器質と広がる構造になっているので、筋膜の可塑性はここを舞台に起こっています。

細胞によって作られる物質の中には、コラーゲン、エラスチンなど、細胞に強度や弾力性を与える繊維がありますが、この他に、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などの、水を強力に吸収する物質のおかげで、筋膜の多くの水分(細胞液)が蓄えられています。

 

豚の筋膜を対象とした試験管内では、筋膜にストレッチを加えて解放をすることを繰り返すと、スポンジに水が吸収されるように組織の水分量が増加し、弾性力も増大することが分かっています。 

つまり筋膜の組織がスライドしたり、伸びたりするのは、筋膜にとらえられている水分を介して組織が動くからだと考えるのです。 

科学的な解明とロルフィングの触り方の変化計測機器などにより、現在はこのように考えられている筋膜のメカニズムですが、アイダロルフ博士の時代からしばらくの間は、コラーゲンにエネルギーを与えると構造が変化して、より液状になるのだと説明されていました(チキソトローピー説)。

身体に働きかけるときのイメージが、「エネルギーを与えて組織を変化させる」から「液体を誘導する」へと変わったことにより、私たちの触り方も以前とは質的に変化したと思います。

そして今後も科学的な研究が進むとともに、触り方が変わっていくかもしれません。

国際筋膜学会の立ち上げ

 

最近になって注目されてきた筋膜ですが、筋膜の定義などは国際的にまだ曖昧です。

それは長い間、筋膜よりも、それに覆われた骨や筋肉、臓器などの部分に、注目していたからだと考えられます。

例えば、私達が教科書などで目にする古典的な解剖図には、筋肉や骨や臓器は描かれていますが、実際そのような図を描くためには、すべてを覆っている筋膜をきれいに取り除く必要があるからです。

 

21世紀に入って、ロルフィングの国際的な団体であるロルフ・インスティテュートも、筋膜の研究に力を注ぐようになり、医師や研究者やロルファーなどが中心となって、国際筋膜学会が立ち上げられました。

学会は2007年から過去4回開かれて、第一回目から日本の大学も参加しています。

筋膜は筋肉の膜ではない

 

筋膜は英語ではfasciaと言い、「帯、束」という意味があります。

筋肉に限らず、体内に広く分布していて、アメリカ式の解剖では皮下脂肪もfasiaに含み、内臓の周囲にもfasciaがあるので、筋肉のfasciaを示すときには、わざわざmyo(筋肉の~)をつけてmyofasciaと呼ぶくらいです。

また組織的にも、皮膚や粘膜のように、境界面に細胞が並んだ膜の構造をしていないので、fasvciaを筋膜と呼んでしまうと現実のずれがが生じてしまいます。

筋膜の定義について

 

国際的な定義はまだ確立されていませんが、ロルフ・インスティテュートが参加している国際筋膜学会では、手技療法や運動法などで働きかける結合素子区を以下の4つに分類して、これらをすべてfasciaとして扱うことを提唱しています。

 

●皮下組織、皮下脂肪の層 ●筋骨格系にまつわる結合組織 ●内臓系にまつわる結合組織 ●脳梗塞などの、神経系にまつわる結合組織 以上のように、ロルフィングなどの手技療法が扱う筋膜は、従来の一般的な「筋膜」よりも広い範囲の組織をあらわるようになっています。

 

<日本ロルフィング協会の記事より>